創業当初、今の清須市にある自社整備工場の上に
当時の屋号「スタイルオート」という看板を掲げて、当社は産声を上げました。
そのスタイルオートという屋号の下に
「サードプレイス」という英語を書きました。
サードプレイスとは、スターバックスコーヒーが提唱している考え方で
自宅というプライベートな場所を、ファーストプレイス
職場という社交の場所を、セカンドプレイス
その双方でも無い、オンとオフの中間にある”落ち着ける場所”をサードプレイスと定義しています。
それは、自宅での自分と、職場での自分の中間にある、
「自分らしさを大事にしながら、オフを体感しつつ
世間とも接点を持てる、落ち着ける場所」の事です。
その考えに大変共感した私は、自らがこれから作ろうとしている会社も
訪れるお客様が、ほっと落ち着いて寛げる場所となり、
また、働く人達も、サードプレイスと感じられるほどのアットホームな落ち着ける場所であってほしい。
そう願って、創業当初、看板に記載をしました。
それはそもそもの創業をする前の、私の原体験のような生い立ちから来る、渇望のような願いから来ています。
自分が育った環境が色濃く反映されており、私は青年期から、温かい家庭、笑顔の溢れる家庭に憧れていました。
それは自らの父と母が毎日喧嘩の絶えない家で育ち、情緒不安定になっていた青年期を過ごしたからだと考えています。
その、温かく、笑顔の溢れる家庭 こそが私がずっとずっと願い思い続けていた理想であり
そんな家庭を作る事が人生の目的でありました。
また、自分が脱サラをして作り上げた会社も、そんな、”暖かく””笑顔が溢れる”場所であって欲しいと、とても強く、人一倍思うようになりました。
その願いは青年期に見た、アメリカのホームコメディ「フルハウス」で、理想の家庭は、アメリカにある。と強く信じ、欧米のライフスタイルに強烈に憧れる動機となりました。
その事が今の輸入車好き、北欧好き、ボルボ好き、へと繋がっています。
自分の幼少期からの強い願望が、今の自分が行っている、ボルボ専門店というビジネスに転化出来ている事が自分の誇りでもありますし、強みだとも思っています。
自分にとって、青年期の
ファーストプレイスは自分の部屋でした。
そして、学校がセカンドプレイスであり
理想のサードプレイスは、TVで見る欧米のライフスタイル、ホームコメディその物だったのかもしれません。
だからこそ、創業時にふと知ったこのサードプレイスという言葉を
自らのビジネスもテーマに掲げたのだと思います。
職場といってもセカンドプレイスよりもサードプレイスに使い存在にしたい。
その考えは今も変わっておらず、より発展的に広がった思いになってきました。
今当社では、大きな変革期であると考えています。
それは、「働き方の意識改革」を行っている事です。
昨年の11月より、店舗の営業時間を1時間短縮し、18時閉店としました。
これは、今まで朝の9時30分から朝礼を行い、30分で準備をし、10時に開店。
その後、19時に閉店となりながらも、閉店作業等で結局は20時頃になってやっと帰れるという営業社員の体質を根本的に替える為の施策でした。
18時に閉店とする事により、全社員の就業時間を
朝の9時から18時とする事ができ、朝のオープン前に1時間の余裕を作る事が出来ました。
また、今では18時15分以降の残業に対しては、事前申請が必要としていますので
基本的には全店舗全社員が18時過ぎには退社出来るように促しています。
当社では、営業マンも、事務員も、整備士も
18時以降、1分単位で当然の事ながら残業費用が支払われます。
実はこの自動車販売業界では、営業社員には、見なし残業制が取られている事が多く
その為に深夜労働が当たり前の環境になっていました。
この全社員が18時に退社できる会社作りを考え始めたのが
自分の家族の、新しい命の誕生からでした。
娘の誕生に際して、今迄の長時間労働当たり前の考え方から、大きく自分の考えが代り
娘が誕生してから、2ヶ月間、育児休暇をとる事にしました。
その経験から、当社では男性社員にも100%の育児休暇取得を促しています。
ちょうど私達が販売しているボルボの故郷
スウェーデンでは、欧米でもトップクラスの働き方改革最前線のお国柄。
女性の90%以上が共働きをしており、女性が大変活躍をしています。
また、男性も育児参加に積極的な為、残業もほとんどありません。
多くのスウェーデン人が16時から17時には退社し、家族皆で食事をしていると言います。
ダイバーシティ経営という言葉が注目をされていますが
女性も活躍できる会社を作るというのは、私の中では当然の事であると思っています。
私自身が、姉を二人持ち、女性に囲まれて育ってきた環境である事と、今も嫁と娘が3人という女性ばかりの家族を持っている事もあり
女性がいる環境が普通だと思っているからです。
女性が活躍する為には、残業が当たり前の職場では到底上手くいきません。
女性が結婚した後も家事や育児と、仕事を両立が出来る職場環境である必要があります。
残業をしないと出世出来ない。早く帰ると白い目で見られてしまう、
そんな会社で女性が将来の自分の活躍する姿をどうやって思い浮かべる事が出来るのでしょうか。
だからこそ、北欧の企業では男女均等に活躍できる場が用意されていると同時に
定時の中で、どれだけ生産性を上げ、集中出来、成果が高まるかにフォーカスをする事が出来るのだと思います。
そんな北欧の文化、ライフスタイルに憧れている自分がおり
そして北欧の車を販売している会社を経営しています。
ちょうどと言っては必然過ぎるほど、自分の理想とする世界を創り上げる事が出来る今。
だからこそ、難しい問題は沢山ありますが、その理想とする働き方、ライフスタイルを体感できる会社を作っていきたいと強く思うようになりました。
また、やみくもに売上至上主義、規模拡大主義に走っているのでは
サードプレイスのような環境整備が追いつかなくなる可能性があります。
当社ではそういった無理をしてでもの、規模の拡大は追わない事にしました。
長い年月を掛けて、規模も中身も立派な会社を作る。
そして、お客様も働く社員も皆が、温かく笑顔になれる、幸せになれる”場所”であって欲しいと強く思います。
それこそが私が創業当時に思い描いた理想の場所”サードプレイス”です。
コクスンは、働く人が、心豊かになれる会社である。
それは、まさにサードプレイスのような居心地の良い会社。
そして、その心の豊かさをお届けする事が私達の目的であると、全社員が思えるような会社にしていきたいと思っています。